• Kobayashi Kei

プレゼンで押し切る

最終更新: 2019年12月23日

実は大切なのは「伝わるスライド」よりも「伝わるプレゼンテーション」です。ややこしくなりがちな情報を極限までシンプルにし、プレゼンテーションで伝えるデザインを考えます。


BEFORE

抗菌薬の2種類の作用特性、濃度依存型と時間依存型について示したスライドです。左側の模式図を使って概念を説明したいのですが、直感的につかみにくい印象です。


直したい!

  1. 左の図の略語が把握しづらく、一度に理解するのが難しい

  2. 右のテキストの説明が単調なため、よく読まないとわかりにくい


AFTER

まず大事な概念として、抗菌薬は大きく分けて2種類あります。


これは薬剤を投与した際の血中濃度の推移です。教科書には覚えにくい略称がたくさん載っていますが、今回はいったん忘れて


ここまでシンプルにしてみましょう。縦軸に血中濃度、横軸に時間があり、投与をすると時間と共に血中濃度があがり、また下がっていくという図です。


一つ目の抗菌薬、「濃度依存型」はグラフの縦軸に依存し、血中濃度を高くするほど効果が高くなります。そのため1日3回にわけるよりも、1日1回でしっかりした量を投与する方が有効です。


そしてもう一つは横軸に依存する「時間依存型」です。これはある一定以上の濃度を持続的に保つことが求められます。急激に上げたり下げたりするとむしろ耐性菌のリスクも上がるため注意が必要です。


一度に量を投与するのではなく、1日3回、4回と回数にわけて投与しなければいけません。濃度依存型と時間依存型では投与法が異なっており、こうした概念を把握し、適切な投与を心がけましょう。



直した!

  1. 略称を全て排除し、縦軸と横軸の2つだけを用いて説明をした

  2. スライドを細かくわけ、説明に合わせて流れるようデザインした


解説

1. 略称に注意!


本を読むことと違い、プレゼンテーションでは短時間で次々と情報が流れていきます。今回のような少し込み入った概念を説明する場合、観客の脳のメモリ消費をできるだけ節約しなければいけません。


スライド下段に「MIC:最小発育阻止濃度」とありますが、ふだん使う日本語ではないため、初見でこれを一度にスッと覚えられる人はかなりすごい人です。元の単語の「MIC → Minimal Inhibitory Concentration → 最小発育阻止濃度」はさらに想像しづらく、略語を使うことで記述は楽になりますが、理解に対する負荷は上がるので注意が必要です。


今回は他にもTAMやMSW、MPCなどが小さい図の中で登場し、「覚えなくていい」と仮に言ったとしても、視界に入った時点で脳は理解しようと働いてしまい、メインの情報がより頭に入りにくくなってしまいます

今回伝えたいことは濃度依存と時間依存の違いであるため、略称をすべて削除し、できるだけシンプルな図をデザインしてみました。


2.プレゼンテーションで伝える


今回はわざと、シンプルすぎて説明不足なスライドを作っています。ここまで情報を減らすとどうなるか?観客はプレゼンターの説明を聞かざるを得なくなります。情報をびっしりとスライドに書き込み、口頭で説明することは親切に思えますが、実際には読むスピードと聞くスピードは違うため、知覚による理解の乖離が起きてしまいます。

むしろシンプルでダイナミックにスライドを変化させ、しっかりとプレゼンテーションで伝えることによりアニメーションのような効果が生まれ、「理解できた!」という満足度もあがります。

マニュアルのようなスライドを作って棒読みで説明するよりも、まずは聞かせるための話を作り上げ、それに合わせたスライドを作る方が効果的です。


どんな内容のプレゼンテーションでも、観客に聴く価値を実感してもらわなければなりません。伝わりやすいだけでなく、見て楽しい、聞いて楽しいというスライドができれば理想的です。


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※スライドはすべてmicrosoft Powerpoint office 365 Window10 を使用しています