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  • 執筆者の写真Kobayashi Kei

メッセージを考える

「このスライドで何を伝えたいのか?」メッセージを常に意識しましょう。自分が伝えたいことと観客に見せたいものが一致すれば、しっかりと伝わるスライドになります。


BEFORE

拡散テンソルトラクトグラフィーというMRIの手法について説明したスライドです。内容がやや難しく、説明が冗長で頭に入りにくいスライドになっています。


直したい!

  1. 説明が難しく、結局何が言いたいのかわかりにくい

  2. 図が細々しており、「等方性拡散」「異方性拡散」の意味がよくわからない


AFTER


直した!

  1. 「拡散テンソルトラクトグラフィー → 神経線維を可視化できる」というメッセージを強調した

  2. 図をひとつに絞り、よりメッセージに注意が向くようにした


解説

1. 一言でいうとどうなるか?


スライドのメッセージを考えるということは、このスライドの内容を一言でいうとどうなるかを考えることです。例えばBEFOREのスライドでは「拡散テンソルトラクトグラフィーとは、~~である」の「~~」の部分がはっきりしないため、伝わりづらいスライドとなっています。


ここで「拡散テンソルトラクトグラフィーとは、神経線維を可視化できるものである」というメッセージを強調したのが、AFTERのスライドです。


このスライドが何を伝えたいのか、プレゼンターのメッセージが明らかになれば、聴く人に安心感が得られます。さらに根幹となるメッセージが伝わると、枝葉の情報も伝わりやすくなります。「神経線維を可視化できるもの」というのがわかって初めて、「脳外科手術への応用が可能」という内容が「ああ、なるほど」となるのです。

メッセージを定めず、どこが幹でどこが葉っぱかわからない説明を延々とすると「なんだか難しかった」という印象だけが残り、お互いに損をするプレゼンテーションになってしまいます。


2.注意を向けさせる

メッセージが決まったら、そこに観客の注意が向くスライドをデザインしましょう。プレゼンテーションでは、自分がしゃべったことが100%相手に伝わると考えてはいけません。個人の実感ですが、どんなにうまい話を聞いても、自分の頭に残るのはせいぜい30%くらいです。

すべてが伝わらないのであれば、せめて自分が伝えたいことを伝えていく必要があります。自分が伝えたいメッセージに、観客の視線を集めることができれば、いっそう伝わりやすいスライドになります。

注意をひくためには、強調するのみでなく、情報を制限することも大切です。今回のスライドでは「神経線維を可視化」を強調すると同時に、BEFOREのスライドであった「等方性拡散」「異方性拡散」の情報を省いています。


MRIの原理のような小難しい概念を一度に説明しようとすると、たくさんの人が置いていかれてしまいます。別のスライドで「異方性拡散とは、~~である」というメッセージを考えて、丁寧に説明していきましょう。


基本的に医学は難しいです。専門家になればなるほど初学者が何がわからないかがわからなくなってきます。わからないことはストレスであり、わかることは快感です。一枚一枚のスライドでメッセージをしっかりと考え、「わかった!」が連発される理想的なスライドデザインを目指しましょう。





※スライドはすべてmicrosoft Powerpoint office 365 Window10 を使用しています

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