メタアナリシスでおなじみの各項目の信頼区間を積み上げて表示するフォレストプロット。シンプルなグラフなのでExcelなどで簡単に描けそうですが、意外と描けません…。今回はできるだけ正確にフォレストプロット(のようなもの)をデザインする方法を紹介します。
BEFORE
人工呼吸器関連事象(Ventilator Associated Events, VAEs)に関連する因子を多変量解析した結果です。左の表と右のプロットで視線を行き来しなければならず、パッと見て理解しづらくなっています。右のプロットも下書きの点がはみ出しており、あまり正確ではない印象です。
直したい!
表の情報とプロットの情報がつかみづらい
プロットがあまり正確ではない
AFTER
直した!
プロットをスライドのメインとし、数値を書き加えた
プロットをできるだけ正確に図示した
解説
1. フォレストプロットとは
フォレストプロット(Forest plot)とは、メタアナリシスで複数の研究結果を表示したものです。■でアウトカムの点推定値(平均値やオッズ比、リスク比)を表し、横の直線で95%信頼区間を表します。
今回のプロットはメタアナリシスではないため正確にはフォレストプロットではありませんが、描き方は同じなのであえてこの名称を採用しました。
2.Excelで信頼区間を描く
さてここからが大変です。まずはExcelを開き、BeforeのスライドのHRの値をもとに横向きのグラフを作成します。(microsoft Excel office 365を使用しています)
続いて95%信頼区間のバーを付け足します。
Excel上部タブ "グラフのデザイン" → "グラフ要素を追加" → "誤差範囲" → "その他の誤差範囲オプション" を押すと右側に"誤差範囲の書式設定"が開きますので、一番下 "ユーザー設定 [値の指定]" で任意の値を入力することができます。遠いですね…。
このときに注意してもらいたいのは、"ユーザー設定の誤差範囲" に直接95%信頼区間の上限値と下限値を入れても正確に表示されません!これはあくまでグラフの頂点を基準に、どのくらいの誤差があるかを表示する機能だからです。
上の図のD列、F列のように「HRから95%信頼区間の下限値を引いたもの」と「95%信頼区間の上限値からHRを引いたもの」を計算し、その値を"正の誤差の値"、"負の誤差の値"に入れる必要があります。なんともややこしい話です。
3.PowerPointでプロットを描く
さて、ここからはそれほど難しくありません。グラフを描くことができたらPowerPointに貼り付けます。
グラフがHRの値になっていますので、頂点に円を付け加え、プロットを作成します。これではまだプロットというよりグラフという印象ですね。
スライド上のグラフ部分を右クリックし、"データ系列の書式設定" → "塗りつぶし" → "塗りつぶしなし" を選択します。
これでプロットを描くことができました!
最後に文字情報を書き加えてできあがりです。
メタアナリシスのフォレストプロットでも、最も悩ましいのはどうやって信頼区間を描くかですので、今回のやり方で正確な描画ができると思います。紹介した方法は、試行錯誤のうえに辿りついたデザインですので、もっと簡単でわかりやすい描き方があるかもしれません。ぜひFacebookページでコメントをいただけると嬉しいです。
※スライドはすべてmicrosoft Excell office 365およびmicrosoft Powerpoint office 365 Window10 を使用しています
Comments