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  • 執筆者の写真Kobayashi Kei

画像とテキストのデザイン 後編

前回の記事では、院内の待合で流す動画のイントロダクションのスライドを紹介しました。これをもとに画像や文字の選び方について考え、さらに悩ましいセンスの鍛え方についても言及してみます。


BEFORE


AFTER




解説

1.画像を選ぶ


一昔前までは写真やイラストは自分で撮ったり描いたりするか、本からスキャニングしてアレンジして使ったりしていましたが、いまや検索をかければロイヤリティフリーのかっこいい画像が山ほど出てくる時代になったため、かっこよくて美しいデザインを本当に手早く便利にできるようになりました。選択肢が多すぎることはときに難点ですが、うまく活用してスライドデザインの武器にしましょう。


今回のスライドのように引用ではなくスライドの一部として画像をつかいたい場合、画像検索で拾ったものをそのまま使うのではなく、ロイヤリティフリーの画像をきちんと使うことをお勧めします。たとえばどこかの画像を勝手に使用してそれが著作権法違反で訴訟にまでつながることはまずないと思いますが、やはり公の場でプレゼンテーションをすることを考えると、リテラシーとしてきちんとした手順は踏んでおきたいです。


無料のロイヤリティフリー画像サイトは年々増えており、PAKUTASOBurstUnsplashなど、きれいで使い勝手のいいサイトも次々と現れています。しかしやはり有料のサイトの方が「こんな画像が使いたい」と思ったときのヒットのしやすさ、画像の美しさ、使いやすさ、全てで勝っているのは否めません。私はAdobe Stockを愛用しています(サブスクリプションから逃れられなくなっています)が、ShutterStock, PIXTA などの有名どころは値段も高すぎずユーザーも多そうです。


実際の画像選びについて、このスライドで考えていきましょう。

まず最初に「花の画像を全体に配置して文字を入れたい」と考えたので、「花」で検索します。



すると1,900万件ちかくヒットします。目を疑う数字ですが、ここからいい感じでスライドに使いやすい画像を選ばなければいけません。この”いい感じ”の部分を言語化すると


・花の画像

・写真

・スライド全体に画像を配置

・テキストも入れる

・左か右に空間が適度にあいている

・上品で優しい

・暗くない

・お見舞いやお供えなどのイメージを連想させにくい


などのワードを考え、下の画像を入手しました。



こうしたキーワードは具体性が高いほど決定がしやすいですが、あまり厳密すぎるとなかなかイメージした画像にたどりつけないこともあります。


こうした画像の選択は与える印象に非常に強く作用します。同じ花の画像でも


これだときれいですが”闇”や”夜”を連想させてしまい、


これではサイケデリック過ぎてどんな治療をされるのかわからない警戒心を抱かせてしまいます。


公共の場で使う画像は特に自分の好みだけでなく、相手の受ける印象も考えて画像を選びましょう。



2.文字を選ぶ


画像だけでなく、いわゆるタイポグラフィもデザインの大きな要素です。どのように文字を使うかでかなり印象が変わります。まずはフォントについて


UDデジタル教科書体 NK-R

すっきりと上品で、きれいな手書きのような優しさがあります


游明朝 Demibold

格調高く、カチッとエレガントな印象です


MSゴシック

平坦で単調ですが、このフレームと組み合わせると悪くないですね


HG創英角ポップ体

ちょっとくだけすぎでそぐわない感じがします


すべてWindowsのOfficeに搭載のフォントですが、比べてみると表情がずいぶん違うのがわかります。どれが正解というわけではないのが難しいですが、内容や画像との雰囲気を考え、最適なフォント選びをしましょう。


また、文字はフォントだけでなく、文字の大きさや位置、行間、文字間隔などでも読みやすさや雰囲気が変わります


文字間隔、行間やや広め

文字間隔、行間せまめ


これもまた正解はなく、文章の長さや与えたい印象、フォントの形、英字、数字などにより最適解は変わってきます

こんなこと考え出したらキリがないと思われそうですが、デザインをする際はこのキリのない作業を丁寧にやるかどうかで出来栄えが大きく変わってきます。


幸いデジタルは何度でもやり直しがききます。ぜひデフォルトのレイアウトにテキストを打ち込んで終わり、ではなくぜひいろいろ試してみてください。



3.センスを鍛える


今回の記事では「いい感じ」とか「エレガントな印象」といった表現をあえて使っていましたが、画像にしろ文字にしろ自分や他人が良いと思えるものを選べるかどうかは、ひとつのセンスというものだと思います。

センスの定義をし始めると雲をつかむような議論になりますが、大切な要素としては「自分の好きなもの」「人が好きだと思うもの」がを自分の中に明確にすることがあります。そしてこの意味でのセンスは経験と動機づけにより鍛えることが可能です。


センスを鍛えるため、たとえば美術館や画集などでアートを鑑賞することはひとつの方法ですが、世の中にはありとあらゆるものに人や自然によるデザインが施されています。



日常的に触れすぎているためもはや意識もしなくなりますが、たとえば自分がお菓子を選ぶ際、「なぜこのお菓子を選んだのか」「どういう要素に自分は惹かれたのか」と考えるのはおもしろい作業です。自分の中で「何が好きか」「どういったところに魅力を感じるか」を分析し、言語化することでセンスは鍛えられていきます

スライドデザイン的な観点でいうと、たとえばEテレの学習番組や、すべての情報番組でつくられるアニメーションによる情報伝達はとても優れています。短時間で流れレベルも高すぎるためなかなか分析も追いつきませんが、「自分がこの図を作るならどうするか」と考えながら見るとその仕事のすごさが実感できます。


個人的には最近グラフィックについて勉強するためにPinterestというSNSを再開しましたが、これは数年ぶりに開いたら明らかに進歩していました。



画像検索でも引っかからないような素晴らしいアートやデザインが芋づる式にどんどん出てきてくれます。ここで自分の好き/好きじゃないを選別するだけでも多くの発見があります。


インターネットはすごいですね。




※スライドはすべてmicrosoft Excell office 365およびmicrosoft Powerpoint office 365 Window10 を使用しています

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