「時間を表現する 1」は こちら
経時的な変化をスライドで示すことはよくあります。複数の評価項目を一覧する場合、どのような順番で表示していくかも大切なポイントです。今回は表を用いた時間的変化のスライドをデザインしてみましょう。
BEFORE
アドリアマイシン心筋症に対するリハビリテーション介入の経過と結果を示したスライドです。入院時、リハビリ介入時、退院時のデータを箇条書きで示しているため、それぞれのデータの比較がしづらくなっています。
直したい!
それぞれの時期のデータが比べづらい
上のボックスと下のボックスで情報のメリハリがない
AFTER
アニメーションするとこんな感じです。
直した!
時系列と評価項目を表にし、時間ごとに提示した
リハビリテーションと薬物治療で情報をわけ、スライドも別にした
解説
1.情報のカテゴライズ
BEOREのスライドでは、上のボックスはリハビリテーションの経過だけを示していますが、下のボックスでは薬物治療に関する情報とリハビリテーションの評価に関する情報が混在しており、ややわかりにくくなっています。
そのためまずは、
・リハビリテーション介入の経過
・薬物治療の経過
を2枚のスライドにし、
・リハビリテーションの評価
は口頭で示すようにしました。このように、伝えたい情報をしっかりとカテゴライズし、情報のメリハリのついたスライドにすることが大切です。
2.アイコンと罫線
続いて表について。今回は悪化した数値を青、改善した数値を赤で示したシンプルな表ですが、他にもいくつか工夫をしてみました。
まずはアイコンを挿入し、パッと見たときに、表の上段に視線がいくようにしました。こうすることで「リハ介入時には起き上がることもできなかった」という情報が直感的にわかり、下の情報もスムーズに理解することができます。アイコンはテキストを読まなくても情報を瞬時に説明してくれるのでとても便利ですが、例えば体重のところに体重のアイコン、下腿周囲長のところに足のアイコンなどを入れてしまうと、ごちゃごちゃしてしまい一番上のアイコンの印象が薄れるので、使い過ぎには注意しましょう。
続いて表の罫線について。今回は表のセルを区切るのに、白い太めの罫線を格子状に引きました。背景が白で、3行目と5行目のセルも白のため、一部線が欠けているように見えますが、挟んでいる行のセルをグレーにしているため線が連続しているように認知されます。
これが1ptの黒い罫線だと
区切られすぎて連続性が断たれている印象になり、罫線をなくすと
境界がなさすぎて締まりのない印象になってしまいます。今回の白罫線はややトリッキーなテクニックですが、ゲシュタルトの閉合の原則を利用しており、デザイン的には知っていて損はない技法です。WWFのパンダロゴとかが有名ですね。
一口に表といっても、色使いや数値の見せ方、罫線やアイコンを工夫することで印象がけっこう変わってきます。デフォルトの無機質な表にとらわれず、ぜひいろいろと工夫をしてみてください。
※スライドはすべてmicrosoft Powerpoint office 2019 Windows10 を使用しています
"赤"は元気なイメージがあるから、「改善」にもいいかもしれませんね。"赤"と言っても、黄みがかった赤から、青みがかった赤もあるし、青も濃い青、薄い青など、いろいろあって、それぞれイメージが違ってて、比べると面白いですね(^o^)。
ゲシュタルト閉合は線を閉じないことで開放感を与えてすっきり柔らかい印象にしてくれますね。 色についてはたしかに。基本的にスライドの強調色は赤だからプラスの表現を赤にしてましたが、改善/悪化の話になると改善を青にした方がいいかもしれませんね。これは興味深いポイント。今度アンケートして聞いてみましょう。
Afterの表、すごく、すっきり見えて好きです(^^)。WWFのパンダも、すっきり見えるけど、ゲシュタルト閉合は、すっきり見えるのかな?
リハ介入時が青で、退院時が赤だけど、青信号と赤信号の、イメージがあるから、色を逆にしたほうがいい気がするんだけど…。具合が良くなったことを強調するには、良くなったときに赤のほうがいいのかな??